8月のカエルの歌を忘れない

 スタジアムの中へ入っても興奮は冷めません。なぜなら、一平くんは開場前に2回出て来てくれただけでなくピッチを一周したり開場後のコンコースにも出てきてくれたから。本当に凄いわ。この日の彼のスケジュールはグリーティング2回、開場後にピッチを一周し皆にご挨拶&担架タイム、試合開始前にコンコースにいた、試合開始のセレモニーに出席、その後、応援席へ移動し応援(前半&後半)。本当に物凄いカエルです。そのカエルの気持ちに応えるためにも応援せねば♪
 と、その前にピッチで繰り広げてくれた担架タイムを。中に入った我々を待っていたのは、またしてもマスコットたちでした。ピッチを一周し観客に挨拶します。ここまではいつもどおりの光景。
 引き揚げようとした時、一平くんが倒れます。たぶん、誰かと接触(伊予柑太あたりと?)したみたいです。マスコットみんなが心配します。と、そこへ担架が。でも、運ばれてきたのは担架だけ。これ・・・運ぶのはマスコットってこと?
 そのため、マスコットたちが一平くんを担架にのせ持ち上げようとしますが担架が上がらない・・・で、あきらめて・・・一平くんほったらかし・・・一平くん自力で起き上がり撤収♪そんなショータイムでした♪

 さて、その後、試合ですが、なかなか壮絶な試合になりました。試合開始早々、名古屋が先制(前半2分)、つづいて2点目を名古屋が挙げる(前半18分)、そして前半32分には名古屋が追加点。なんと一方的な戦いになり、前半戦を名古屋が3−0で折り返す。
 前半途中に一平くんが応援に、そして、伊予柑太までも駆けつけてくれたものの、なんとも一方的な戦い。正直言って前半3−0なら、まず、勝敗はほぼ100%決まったようなもの。
 そして、後半開始早々、名古屋が4点目(後半3分)。これで完全に終戦なはず。どう考えても4−0からなんとかできるところなんてない。したがって早々と試合終了。
 ところが、愛媛FC応援のコールリーダーは違っていた。「どうした?みんな暗いよ。まだ試合終わってないよ。」とみんなを勇気づける。
 そう。まだ試合は終わっていない。力の差はあるものの愛媛FCの選手たちは一生懸命戦っている。ここから前半同様、応援だけはきっちりやろうという流れになる。そうしたら・・・
 熱い応援に選手たちが応えたのか、気持ちが通じたのか。後半13分、愛媛が1点を返す。まあ、1点ぐらいはとらないと、同じ負けでも点をとれないのととれるのとでは大違い。そう思った。ところが・・・
 ここからゴールラッシュ。後半24分に2点目。つづけて後半25分に3点目。なんと4点差から1点差に!そして、後半27分に愛媛が4点目!なんと同点に!追いついた!私は信じられなかったです。0−4になったところで試合は決まったはず、そこからあきらめずに同点に追いつくとは!!応援の力?あきらめない選手の力?みんなの想いがひとつになったから?様々な思いが交錯します。私は思わず叫んでいました。奇跡は起きるものじゃない!起こすものなんだ!
 同点になった今、押せ押せムード。次の1点が勝負を決める。大事なところ。わずか14分間で同点に追いついた奇跡。こうなると愛媛が優位に!と思ったら・・・
 勝負は二転三転します。5点目をとったのは名古屋でした(後半29分)。その後は後半36分に6点目。そして、後半ロスタイムに7点目(後半51分)。終わってみたら名古屋が7−4で勝利しました。
 けれど、これは誰も責められないと思います。0−4になったところで誰も追いつくとは思ってないでしょう。そこから全力攻撃で4−4に。まさかの展開。ただ、ここで足は完全に使い切っていたでしょう。一気に行きましたから。物凄い運動量。奇跡の14分間でした。ここで引き分け狙いにして勝ち点1を獲りに行くのか、このままの勢いで追加点をとり勝ち点3を獲りに行くのか、これは答えの出しにくいテーマです。正直、悩みます。また、ノーガードの打ち合いをしたので一気に足を使っています。5点目をとられた時、反撃の力は残ってなかったです。そこから、6点目、7点目。ただ、最後まであきらめずに戦ったその姿はとても感動的でとても印象的でした。
 試合が終わった時、結果的に大差で負けたとはいえ、私は追いついたのは凄かったと拍手をしていました。これが私の出した答えです。
 愛媛FC応援のコールリーダーの出した答えは違います。たしかに4点とったのは凄いよ、凄いけど、その後、3点とられました、負けましたというのはどうなの。それではまずいでしょう。
 そう、そうなのです。よく頑張ったということで拍手するだけではだめなんです。それでは成長しないんです、チームも応援も。0−4から4−4に追いついたなら、そこから全力攻撃という戦術から次の1点が大事という戦術にかえていかないといけないんです。その時、その時の点差、展開に応じた戦い方があるのです。ただ単に一生懸命やるだけではだめなんです。その頑張りを結果に結びつけないと。
 選手は頑張っているから、どんな結果でも拍手をという考えがありますが、それは町内会のちびっこのスポーツチームか何かを応援する時の気持ち。プロだったら、よく頑張っただけで拍手ではだめなんです。その頑張りを次につなげていくエール、拍手でないと。そして、時に厳しい言い方も必要なんですよ、それをあわせてチーム愛と呼ぶのです。
 この日の応援は感動的でした。本当にチームに強くなってほしい、成長してほしいという思いあふれる応援。応援とはなんたるかを見せてもらった応援でした。