不思議な女性たち

 これは実際にあった世にも奇妙な物語です。具体的には平成23年8月から平成24年3月にかけての物語。

 【登場人物】ういたかひょうたん1号(通称:1号)・・・33歳の女性
 ういたかひょうたん2号(通称:2号)・・・26歳の女性
 ういたかひょうたん3号(通称:3号)・・・25歳の女性
 (いずれも専業主婦願望の強い女性たち)
 ういたかひょうたんと名付けたのは、いずれも「結婚=即、幸せ(何の憂いもなく)」と考えてるふしが強いため。

 【第一幕】
 平成23年4月、新しい職場に転勤し、1号、2号と私は出会った。ぱっと見た感じは、ごくごく普通の女性たち。ただ、違った点は、なぜか職場でプライベートなことを話すこと。聞かれてはまずいようなことを1号と2号が話す。ひそひそ話なら職場以外でどこか喫茶店で仕事帰りにでも話せばいいのに、職場で話す。それも周りに聞こえるでかい声で話す。
 どこまで本当の話かわからないけど、1号の父は離婚?かなにかで家に一緒にはいないらしい。4人家族か5人家族か何かで、父不在で母親が仕事をし、残り2人だか3人だかの息子、娘を育ててきた家庭のようだった。
 そういった境遇の場合、普通なら娘が家事を手伝い、家を助ける「今まで苦労してきたんだね」っていうストーリーのはずだけど、なぜか、1号は料理が苦手と言っていた。実際に料理をやったことがなさそうな口ぶり。大根とか畑でとれたもののおすそわけがあっても、それをどう調理したらいいか「こんなんもらっても困る」という感じだった。それは1号、2号とも同じだったが、それでいて専業主婦願望が強いという不思議な女性たちだった。
 おそらく、1号の家庭では、仕事をして一家の大黒柱となっている母親が料理をしない(もしくは料理をしている暇がない)ため、スーパーかコンビニあたりで、できあいのものを買ってきて食卓に並べる生活ではなかろうか。
 仕方がない状況(仕事をしているため、そうせざるをえない)だが、できあいのものを買ってくる生活では、お金はなかなかたまらない。誰かが生活を助けるため、スーパーに行って食材かってきて調理して単価の低い「安くてうまいもの」を作らないと。
 人間は置かれた状況で自分のできることをするというが、世間がそう思ってるほどではないのかも?と1号を見て思った。
 というのは1号と他の人が話をしているのを聞き、どうも世間で言われている言葉を間違って理解しているふしがあったからだ。
 まず、この厳しいご時世。働いている人の収入が減り、共働きが当たり前の昨今。料理が得意なわけでもないのに、専業主婦願望。どうも、男の給料で生活できるという一昔前の言葉を素で信じてるふうだった。さらに化粧が上手で「男を見かけで釣ることができる」と真に思ってるふうだった。その証拠に「お互いがお互いを思いやることが大事」という夫婦の基本であることを「それは理想だけど」というきれいごとっぽく思っているふうであった。
 どちらかといえば、好きな男と結婚するよりは、お金と結婚するという不思議な世界観を持つ女性のように思えた。1号は。お金さえあれば、好きでもない男と一緒に暮らせるのかな?男なんて結婚前までは、ものすごく女に優しくし、「愛してる」って平気で言うけど、結婚後、愛が冷めるや否や、DV(ドメスティックバイオレンス)という暴力沙汰(夫婦間の問題のため、警察は民事不介入でとりあってくれない)が起きる昨今だというのに。他人事ながら、誰か基礎的なことを教えてあげればいいのになと心底不安に思った。
 また、男をだましとおせるとでも軽く考えているふうでもあった。
 父親不在で苦労してきたんだろうな・・・なんて境遇が境遇のため、不憫に思い、1号にちょっかいかけた私が悪かったが、人の話をまともに聞くふうでもなく、メールアドレスを渡しても返信もなく、「あっ、この人、私に興味ないんだな・・・」と思ったのが8月くらいかな。伝え聞く話では彼氏がいるような感じではあったが、彼氏が、なかなか結婚に踏み切ってくれないようで、そのため、私が「もしかして悪い人にだまされてるのかな?遊ばれてるのかな?社会人に入ってのつきあいって結婚前提だろうに・・・」と思ったのが9月頃。
 そんな9月のある日、彼氏と結婚話になるのでは?というぐらい1号が喜び勇んでいた週末。その週明け、涙目になっていた時期が1号には、あった。
 それを見て私は、てっきり結婚を強くせまるあまり、彼氏と話がこじれ、別れてしまったのだと勘違いし、1号に告白してしまった。私が順序立てて真面目に話をしているのに途中から真面目に話を聞くふうでなくなった時、私は、この女に告白したことを心底後悔した。別に彼氏と別れてないなら、ないと言えばいい。私には心に決めた人がいますからとお断りの言葉を入れてくれればいいのに。話を聞くだけ聞いて「条件悪そうだから」嫌った感じの話の聞き方で、それがものすごく癇に障った。
 ただ、後で知ったのだが、33歳の1号は、25歳の男性とつきあっており、この後、11月にプロポーズされた。それを私には言いたくなかったんだろうなって思った。でも、告白っぽい雰囲気だと察してくれて、言う前に「ごめんなさい、私には彼氏が・・・」と言えばいいのに、そのような空気の読み方や言うタイミングとかも知らない女性なのかもとも思った。
 それにしても皮肉なもので、見事ゴールインしたものの25歳の男性の給料では専業主婦はできない。3月に1号は入籍するのだが、結局、共働きの道を選んだ。私ぐらいの年齢になると私の給料で専業主婦をやっている人もいるし、貯金額まで考えると1号の夢が叶ってしまうというオチであった。もしも、あの時、1号に彼氏がいなければ・・・もし、彼氏と別れていたら・・・というのは、本当に人生の不思議である。しかも、私が女性に専業主婦してほしいという気持ちを強く持っている男性だから、なおのことでもあった。
 なんだか、普段のたあいもない会話では「愛よりもお金が大事」なんて言いながら、真逆の人生を歩む道を選んだ1号だから、結果的には純愛だったのだと信じたい。料理やったことがなくても、必要に迫られれば料理なんてするようになるし、なんとかなると思う。一家の大黒柱である男性のことを思う気持ちがあれば、自分の父親が家を出て行ったように、自分の旦那が出て行くことはないと思う。

 【第二幕】
 11月にプロポーズされた話は1号が、これまた職場でしゃべりまくっていたため、すぐに周りに広まった。お相手が25歳の男性という話も広まったし、結婚イコール幸せと単純に考えてるんだなーなんてほほえましく思った。実際は生活というものがあり、二人の収入、支出(家賃、光熱水費、食費)+新生活を始めるにあたって用意しないといけない諸経費のことで頭が痛い問題もあり、手放しで喜べるものではないとも思うけど。
 ともあれ、そんな中、1号がうれしそうに2号に話す中で、どうも2号が「あの人いいんじゃない?」なんて1号に言ったようである。職場ででかい声で言うだけでなく、職場の宴会でいろんな人に相談してしまったため、後に私も含め、いろんな人が迷惑することとなる。
 職場の女性陣(既婚者)からは2号が私とメールアドレスを交換したがっていたというので、メールアドレスを教えたが返事がない。どうも1号が変な入れ知恵をして「男をじらせた方が得」とでも言ったかのようであった。
 で、聞いた話と違うので、私が「どういうこと?」なんて軽くやんわりと怒ったら、それを周りの女性陣(既婚者)に相談する始末。その場合、真面目な相談なら、ちゃんとうまくいく方向で2号自身が動かないと相談を受けた女性陣も当然怒る。人が真面目に仕事とは関係のないプライベートな相談うけてるのに「なんだ!この女は!」ってことになる。
 私のところには複数の女性から「どうしたら2号が、あなたと仲良くできるのかね」とか「うまくいくといいのに」なんて話が直接入ってきて私は本当に複雑に思った。そんな折、3号から「あなたを思っている人が近くにいます!あなたから告白してください!」と言われ、仕事帰りの電車の中で2号に告白しようかなと考えた矢先、2号からとんでもない言葉が伝えられた。
 「たとえ帰る方向が一緒であって、帰りの電車が一緒になったとしても職場の人とは口も聞きたくない」と数回言われた。それまでは私と何度も電車の中で話をしていたにもかかわらずである。
 このあたりの話はネットで複数の掲示板等で相談すると「典型的な当て馬のパターンです」と回答をいただけるように、他に本命の彼氏がいるからこそ、電車の中で偶然見られたらまずいからこそ、会って話ができないのである。
 「話をしましょう」と言って「話したくありません」という「あなたに興味はないわ」という完璧な回答を出した以上、2号は私に気があるはずがなかったのである。ネットの相談でも「ほぼ100%に近い確率で、本気じゃないからやめとけ!からかわれてるだけ!当て馬ですよ!」という回答が出た。
 やはりなーと思ったのが12月末のこと。どうも話がうますぎるなーなんて思ったんだよなーって思っていた。
 この時、もしも・・・もしも・・・であるが、ストレートに告白する場を与えられていれば、私は間違いなく告白していた。しかも、2号の考える専業主婦願望を叶えることができたのであるから、またしても人生は不思議である。
 1月に入り、「私はからかわれてたんだ」と思って2号を無視していたら、どうも様子がおかしい。1号と2号が振り向いてくれない私が悪いといわんばかりのひそひそ話をする。それもでかい声で。不思議だった。それなら、仕事終わったあとに帰りに私に声かければいいだけの話なのに。私のメールアドレスも教えてあるのに。
 コンタクトは簡単だし、私と話をすればいいだけという回答は既にでているのに、わけのわからない対応をずっとしていた。仕方がないので、1月と2月に意味がわかるように2号に二度も「12月に言ったことがやったことがどんな意味を持つのか」を伝えた。
 そうしたら、なぜか左手の薬指に指輪をし始めたのだから、もう、何がなんだかわからなかった。
 その間、周りの女性陣が私に結婚観や今の20代の女性に専業主婦願望が強いこと、それを叶えてあげられるのか果ては貯金額まで聞いてきた。その上で、この人なら大丈夫と太鼓判まで押す始末だったから、いったい、どんな相談の仕方をしたのだろうか?などと思ってしまった。
 あげくに、3号からは「2号に決まった人がいてその方を大切に思われています」というラストメッセージ。今までさんざん周りの人に相談したのは、いったい何だったの?っていう不思議。

 で、ここからはネットで複数の掲示板等で得た回答だが、おそらく2号に婚約者はいない。というのも私が得た情報では、なぜか職場の男性陣(既婚者)から「決まった人は関東在住」「決まった人は愛知県在住」「決まった人は神戸の人」と聞けば聞くほど、わけがわからなくなる。どう考えても純愛とか一途という言葉が似合う2号であるにもかかわらず、一度に3人もの男性とお付き合いできるのー?重婚でもするのー?って感じ。しかも、職場の女性陣からは付き合っている人はいないと聞いていたのに。
 結果、ネットでの回答は、いないというものだったが、さらに「もう手を出すな」という回答まで来てしまった。
 なんであちこちに彼氏がいるようになったかは、たぶん、2号は専業主婦願望が人一倍強い。だが、共働きが多い昨今、それはなかなか難しい。それが嫌で「関東」だったり、「神戸」だったり、適当に遠隔地をあげれば「結婚後も仕事を続けるんでしょ?今のうちにいろいろと仕事を幅広くやって覚えていた方が・・・」という上司(既婚者)からの声もかわすことができる。そんな声がネットでは多かった。
 じゃあ、それを信じて2号に伝えたら?などとも思ったが、ネットでは「それはだめだ!こういうタイプは、そこまで私のことを思ってくれて・・・などと思わず、あなたのことを支配者と呼んで毛嫌いするだけだから、もともと接点はない」と言われる始末で、実際に3月末を迎えた今、本当にネットの回答どおりだったなーとおそれいった次第である。
 結局のところ、うわさだけ流して最初から最後まで私と向き合おうとしなかった女性、それが2号であった。こうして私の世にも奇妙な物語は終わった。本当に不思議体験アンビリバボーだった。

 【あとがき】
 本当に結婚ってなんなんだろうなって思ってしまった。私は信用できる男女関係じゃない限り、一緒に暮さない方がいいと思う。でないと、家にお金いれなくなる。給料が毎月支払われる銀行口座握ってるからといっても安心できない。1000円と100円ショップで買った印鑑さえあれば、口座なんていつでも作れるし、したがって給料が支払われる口座なんていつでも変えれる、それを男の実家に預けておけばいいだけの話。愛がさめれば簡単に家にお金をいれなくなる。だから、信用できる男女でないと一緒に暮らしても不幸になるだけである。ましてや、駆け引きなんてやってたら終わりである。お金がいくらあったって愛する女性のためでなければ、愛する家庭のためでなければ、みんな自分のためだけに使うでしょ?こんな簡単なことがわからない女性では、この先、どこかでつまずくのでは?と人ごとながら心配に思う。
 どちらかを尻に敷くというのも変な話である。お互いがお互いを思いやれば、はたから見た感じ、一方が尻に敷かれているように見える。それだけの話で、本当に一方が一方を尻に敷いて支配していたのであれば、支配された方はたまらず、家を飛び出す。人間は奴隷じゃないもん。
 1号も2号も3号もどこかで嘘をつくこと、もしくは正確に事実を伝えられないこと、男に甘えることと男をバカにすることの区別がついてない時点で、今後の未来に一抹の不安を感じる。
 仕事よりも趣味よりも何よりも一番大事に考え、真面目に考えないといけないのが自分の人生で、親兄弟以外の人と一緒に暮らす結婚なんだから、ちゃんと話ができてお互いに信頼関係が築ける人じゃないと怖くて住めないのになって思う。
 自分の人生すら真面目に生きれない人は、自分を好きではない人、自分を愛せない人だと思う。自分を愛せなければ、当然ながら人は愛せない。そのことには気づいてほしい。
 結婚というものにあこがれを感じつつも簡単に踏み切れないのは、自分ひとりだけでなく愛する人の生活もかかっているから。だからこそ、自分の収入がどれだけで支出がどれだけで女性を食わせていけるのかなって真剣に考える。真剣だからこそ悩む。そこへ女性が真剣に話の場に加われれば、あっという間に結婚する。
 二人で真剣に話すことができればできるほど、二人の今後の人生は何の憂いもなくなる。
 でないと、どちらかが倒れた時、金がなくなった時、一方がとんずらする。女性が妊娠して身重の時に不倫するし、かといって子供作らなければ身軽だといって外に女つくりまくる。
 本当にろくでもない話だけど、信頼関係つくれないと、こういうふうになっちゃうので、1号、2号、3号と私が出会った不思議な女性たちには、日々成長し、愛する人と信頼関係を築いていって真に幸せになってほしいと思う。